ライフル射撃

再インタビュー

礒部 直樹 Naoki Isobe

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プロフィール

成績
  • 2007年 全日本選抜ライフル射撃選手権大会/優勝
  • 2010年 第65回国民体育大会千葉/優勝
  • 2011年 第66回国民体育大会山口/優勝
  • 2013年 全日本選手権/準優勝
  • 2019年 夏季ライフル&ピストル射撃競技広島大会/優勝
  • 2020年 2020年度全日本ライフル射撃競技大会/優勝
  • 2022年 第48回全日本ライフル射撃競技選手権大会(300㍍)/優勝
    栃木国体 50㍍ライフル伏射/3位
    全日本ライフル射撃選手権大会(50㍍ライフル)/4位

2023.3.31

夢、希望、感動を与え続けたい

東京五輪ではライフル射撃の日本代表ヘッドコーチとして参加した。強化だけでなく育成にも力を入れ、高校生や大学生の指導に尽力し、これまで多くの日本代表を輩出している。「ライフル競技で夢、希望、感動を与えたい」と、指導者だけでなく選手としても活躍する二刀流。長きにわたり日本のトップに君臨している。今年は「選手・礒部直樹」として世界に挑戦する。44歳。挑戦はまだまだ続く。

 
ー今もなお全国から多くの選手が、礒部さんの指導を請い、集まっているようですね。
東京五輪に出場した選手など、練習方法の相談に乗ることはありますが、基本的に日本代表であろうとなかろうと、結果が出ている選手であろうとなかろうと、来る者は拒まず、去る者は追わずで指導しています。そのスタンスは以前から変わりません。
―指導方法など、以前と変わった部分はありますか?
JOC(日本オリンピック委員会)の指導指針に「学ぶことをやめたら教えることをやめなければいけない」という言葉があり、それが自分の指導の根底にあります。長く指導することで、若いときは一つしかなかった引き出しが、今は何個もあると感じます。例えば、日本記録更新までの道筋が見えている選手に対して、プランAからEまで5通り用意し、AがダメなときB、Cではなく、Dを実行すればこの選手は最短で目標にたどり着ける、壁にぶつかったら次はEを勧める、というようなことができるようになりました。
―勝ち方が分かったということですか?
それは少し違いますね。ある程度の予測と計画は立てられるけど、勝負の世界は時の運がありますから。ライフル競技はメンタルはもちろん、風や天候など不確定要素が多い競技なので、すべてをコントロールするのは難しい。それでも、選手が最高のパフォーマンスを出せるよう、刺激を与える手段は心得ているつもりです。それは言葉掛け一つで変わることもあります。普段、選手をあまり褒めない私が褒めちぎると、「認めてもらった」と思って自信を深める人もいるでしょう。選手に対して言いたいことが10あったとき、そのうちの2を褒めて聞く耳をもたせ、本当は残り8についても言いたいところだけれど、3ぐらい助言して軌道修正することで、結果が出たこともあります。いろいろな方法で選手を導くように模索しています。
 
―どのアスリートもコロナ禍で何らかの影響を受けたと思いますが、礒部さんは何か変化がありましたか?
行動制限、移動制限の影響で大会が中止になることが多くなり、時間的な余裕ができました。新型コロナウイルスなんてない方がいいに決まっていますが、選手としての練習時間や家族と過ごす時間など、私にとって必要だった時間をつくれたことは良かったです。目先の試合がなくなり、何のために競技を続けているのか目標を見失った選手もいますが、長期的な目標が明確な選手は、成長できるチャンスと捉え、成長できたはずです。
―東京五輪はヘッドコーチとして参加しましたが、率直な感想は?
メダルを取れなかったことが全てです。ライフル競技は世界ではメジャースポーツですが、日本ではまだ認知度が低い。競技を盛り上げるためにはメダルを取って注目を集めるしかなかったのに、それができなかったことが残念です。唯一、良かったと思うのは、私が大分県内で指導している高校生や大学生、社会人らが、私の指導を受けるために来県した五輪代表や世界で戦う選手と一緒に練習できたこと。高校生や大学生は日本トップクラスの選手を身近に感じ、いろいろな質問ができたと思います。この経験は大きい。若い世代の目を世界に向けることができました。
―44歳。“獅子”奮迅の年となりますが、今後のビジョンを教えてください。
ライフル競技で「夢、希望、感動」を与えたい。その思いは変わらないし、選手としてだけでなく指導者としても目指していることです。ただ、今年は選手としてもう一度、世界と戦いたい思いが強い。2023年度の世界選手権に、300㍍ライフル伏射で出場したいと考えています。昨年に続き(全日本ライフル射撃競技選手権大会で)優勝すれば世界選手権に出場できます。世界で戦うラストチャンスという気持ちも強く、最高の結果を残したい。そのための準備をしています。
―礒部さんの考えるライフル競技のゴールとは?
限界を感じたら引退します。ただ今は、選手として自分の考える練習プランを実行できれば、成績が伸びるというビジョンが見えています。それが明確だからやめられないし、可能性しか感じません。指導者としては、先ほども述べたように、学ぶことをやめたら教えることをやめなければいけないと思っているので、モチベーションがなくなったときが終わりになります。
 

「シンケン聞きたい!10クエスチョン」

好きな食べ物は?/嫌いな食べ物は?
甘党。和と洋どっちも好き/エビ
冷蔵庫に必要なものは?
アイス。冬でも週4は食べる
コンビニで思わず買ってしまう商品は?
絶対に買うのはコーヒーかラテ
ストレス解消法は?
ストレスがたまっているとは思うが、自覚がない
最近買ったもので、うれしかったものは?
トイプードル
オフの過ごし方は?
温泉
好きな言葉は?
「人間力なくして競技力向上なし」「学ぶことをやめたら教えることをやめなければいけない」
朝のルーティン
ストレッチポールに乗って腰のストレッチ。最低5分はする
欲しいもの
当選した宝くじ
人生に必要な三つは?
笑顔、優しさ、あいさつ
 

大分合同新聞 取材記事

 
2023年5月16日 大分合同新聞
 
2022年11月5日 大分合同新聞
 
2022年10月7日 大分合同新聞
 
2021年7月23日 大分合同新聞
 
2019年10月20日 大分合同新聞