ライフル射撃

再インタビュー

近藤 桂司 Keiji Kondo

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プロフィール

成績
  • 2017年 第72回愛媛国体 ライフル3姿勢競技/7位
  • 2019年 西日本ライフル射撃選手権大会 3姿勢競技/3位
    伏射競技/優勝
    第74回茨城国体 ライフル3姿勢競技/5位
  • 2022年 春季ライフル&ピストル射撃競技広島大会 エアライフル立射/準優勝
    春季ライフル&ピストル射撃競技広島大会 ライフル3姿勢/優勝
    第52回西日本ライフル射撃選手権大会 ライフル3姿勢/準優勝

2023.3.31

想定外を乗り越え、行き着いた境地

新型コロナウイルスはアスリートから努力の成果を披露する場を奪った。狙った大会に出場できず、思い描いた通りに調整できず、モチベーションを維持する難しさに悩まされたのは近藤桂司も同じだった。ただ、難しい状況下で競技に向き合い、ライフル射撃の楽しさに触れたことで原点回帰できたことも確か。気力と体力が続く限り、自己記録更新を追い求める覚悟だ。

 
―ようやく例年通りに大会が開催されるようになりましたが、コロナ禍はどのように過ごしていたのですか?
練習場が使えず、何もできなかった期間が3〜4カ月ありました。当時はすぐに終息するだろうと思い、これまでまとまった休みがなかったので、友だちと釣りに行くなどしてリラックスしていました。その後は徐々に練習ができるようになったのですが、大会が少なく、モチベーションを維持するのが難しかったです。2022年頃から大会が増えたのですが、私自身が製造業で働いていることもあり、大会に参加できない時期が続きました。競技をやめようと考えたのは一度や二度ではありませんでした。
―精神的に厳しい状況に追い込まれたとき、どう乗り越えたのですか?
悩んでいた時期は練習しても気持ちが入らず、イライラすることが多かったです。いつになれば大会に出場できるのか明確な答えがなく、どうすることもできないときには、日本代表のコーチで、高校からの恩師である礒部直樹さんに相談し、競技関係者の方々に話を聞いてもらいました。何度か話しているうちに気持ちが整理できた部分もありましたが、やはり大会に出場できなかったのはしんどかったし、成績を残せないのが何よりも辛かったです。モヤモヤした気持ちがスッキリ晴れたのは(2022年の)栃木国体のときでした。高校の後輩たちの試合を間近で見て、緊張感の中で一生懸命に撃っている姿に、熱く込み上げるものを感じました。彼らは純粋に競技と向き合い、楽しんでいました。そのときに「もう一度、心の底から競技を楽しみたい」と思えたのです。そこから、楽しんで競技に打ち込めるようになりました。
 
―2022年5月の春季ライフル&ピストル射撃競技広島大会が、久しぶりの大きな公式大会となりましたが、試合勘を取り戻すのは大変だったのでは?
それが意外と大丈夫で、新鮮な感覚でした。技術的な銃のセッティングや、調子が良いときの感覚というのは「ライフルノート」に書き込んでいるので、そのノートを見返せば問題なかったです。
―ライフルノートとは?
競技を始めた高校の頃から、練習の後に必ずメモを書き込んでいたノートです。その日の練習での銃のセッティングや構えの姿勢など、自分なりの表現で書いています。他の人が読んでも分からないと思いますが、私にとっては大変貴重なメモです。これをひと目見るだけで、調子が良かったときの状態を再現できます。
―今後の取り組み、ビジョンを教えてください。
高校や大学の頃は何も気にせず競技をしていましたが、社会人になって会社から支援を受け、大会に出場するたびに休みをもらうようになると、どうしても良い成績を出さなければいけないというプレッシャーがありました。支援してくれる方々への感謝の思いは変わりませんが、今後は良い成績を追い求めながら、楽しんで競技をしたいです。今年(2023年)は10月の全日本選手権に照準を合わせていきます。そのために、それまでの大会で結果を残し、良い流れを作りたいです。日本代表選手たちとの技術的な差を埋める練習も必要ですが、メンタルも強化したいですね。
―ライフル射撃は経験がものをいう競技だと思いますが、選手のピークは何歳ぐらいなのですか?
30代半ばでも成績が伸びる選手はいるし、気力と体力が充実していれば、ずっと成長できると思っています。私は今年28歳になりましたが、自己新記録は更新できているし、まだまだ上を目指せると思っています。経験、場数が多いほど、風や天候を計算して撃つことができるのは確かです。今後も、緊張感の中で外さない安定感を求めたいと思います。
―近藤選手のゴールは、どこにあるのですか?
ここまで競技を続けるとは、高校の頃には全く思っていなかったです。飽き性で三日坊主の私が今も続けているのは、やはりライフル射撃が楽しいからだと思います。今でも仕事の休憩中に競技について考えることは多いし、普段の生活では味わえない、ヒリヒリするような緊張感の中で良い成績を出したときの喜びは何にも代え難いものがあります。それを楽しめているうちは引退することはないと思います。できる限り現役を続けたいし、第一線を退いても、競技には関わっていたいです。
 

「シンケン聞きたい!10クエスチョン」

好きな食べ物は?/嫌いな食べ物は?
ピザ/特になし
趣味は?
友人とドライブ
ストレス解消法は?
車内で大声で歌う
最近買ったもので、うれしかったものは?
大分県チームメンバーの紹介で良い靴を買った
オフの過ごし方は?
家で映画を見る、ドライブ
好きな言葉は?
点滴穿石(てんてきせんせき)
朝のルーティンは?
音楽を聴きながら通勤
10 年後の自分を想像すると?
世界で活躍している
今一番欲しいものは?
ワイヤレスイヤホン
人生に必要な三つは?
時間、仲間、休息
 

大分合同新聞 取材記事

 
2019年10月5日 大分合同新聞