フェンシング

再インタビュー

中村 太郎 Taro Nakamura

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プロフィール

成績
  • 2017年 えひめ国体(少年男子団体)/優勝
  • 2018年 全国高校総体 個人/優勝
  • 2021年 中日本選手権 個人/8位
    全日本選手権 個人/12位
    全日本選手権 団体/準優勝
    全日本学生選手権 個人/優勝
  • 2022年 全日本学生フェンシングカップ 個人/6位
    ブルガリアW杯 個人/83位
    関東学生リーグ戦 団体/優勝
    中日本選手権 個人/準優勝
    全日本選手権 個人/6位
    とちぎ国体(成年男子団体)/優勝

2023.2.24

パリ五輪に向けて勝負のシーズンが始まる

大学に入学して1年後にコロナ禍となり、思うように練習ができず、大会にも出場できない期間を過ごしたが、その間に肉体改造を行い、地道に練習を重ねた。努力は報われ、国内大会で成績を残して国内ランキングが上昇。ナショナルチームに選出され、海外遠征に帯同するまでになった。高校の頃から見据えていたパリ五輪に向けて、これから一年一年が勝負の年となる。

 
―前回の取材(2019年9月)から3年余りの月日が流れました。その間に新型コロナウイルスの感染拡大があり、東京五輪もありました。どのような時間を過ごしましたか?
コロナ禍で練習環境が整わず、アスリートにとっては厳しい期間でした。ただ、僕はその時期にフィジカルトレーニングをがっつりやろうと決めていたので、練習場所や時間は制限されましたが、じっくりと肉体改造に時間を割くことができました。
―それでも、大会が延期や中止になることが多かったと思います。モチベーションは、どのように保ったのですか?
全日本選手権などの主要大会は開催されたし、海外遠征にも参加できたのでモチベーションが落ちるようなことはなかったです。ナショナルチームで活動することが五輪へのスタートラインに立つことでもあるし、ナショナルチームに入るためには国内大会で勝ち続けなければいけません。まずはナショナルチームに選ばれ続けることをモチベーションとしていました。
―東京五輪は、どの立場で、どのように見ていましたか?
正直な話、東京五輪が1年延期されても、されなくても、僕の置かれている立場は変わらなかったと思います。当時は海外遠征に帯同できないくらいの順位(国内ランキング)でした。「五輪に出たい」と言ってはいたけど、その次のパリ五輪が照準だったので、単純に日本代表を応援していました。
 
―コロナ禍で肉体改造を行ったとの話がありましたが、具体的にどの辺りを強化したのでしょうか?
僕はもともと体の線が細く、どちらかと言えば頭で考えて相手を分析し、勝利につなげるタイプだったと思います。ただ、東京五輪を見て、体格に恵まれた海外選手と対等に戦うためにはどうすればいいかを考えた時、漠然と「体を大きくしてパワーをつけ、瞬発力を高めることが必要」と感じました。当時の体重は62~63㌔ぐらいだったけど、最大72㌔まで増やすことができました。今は69~70㌔を維持している状態です。
―最近は日本ランキングも上がりましたが、肉体改造が要因ですか?
それだけではないと思いますが、周りからは「体が大きくなってパワーとスピードが出てきた」と言われます。転機となったのは2021年の中日本選手権でベスト8に入ったことです。大学2年の頃はコロナ禍で大会数が少なく、自分の実力が測れなかったのですが、そのときに結果が出て、これまでやってきたことが間違いではなかったと思えました。そこから国内ランキングが上がって、ナショナルチームに入ることができ、1シーズン、海外遠征も回れるようになりました。
―ナショナルチームに入ることで得たことは?
海外の選手と試合をすることに慣れたこと。それが一番大きいです。それまでは対戦する前の段階で「なんか強そうだな」とか「勝てないかもしれない」という言葉が頭をよぎることが多く、そういうマイナス面ばかり考えてしまい弱気になることがありました。試合前にいろいろ考えるのが僕の良くないところでした。海外で試合をすることで、萎縮することなく、プラス思考で試合に臨めるようになったことが、結果につながったという印象です。
―今後の目標は?
パリ五輪に向けてのシーズンが始まります。これまでと同じようにナショナルチームに選ばれ続け、国際試合で勝つことが目標です。そのためには自我の強さや自信が必要だと思っています。自分も含めて日本人選手は、技術は世界のトップレベルだけど、真面目すぎるのか自己主張が弱いと思う。海外の選手はポイントを取った瞬間に感情を爆発させるし、不平不満があれば堂々と異議を主張します。細かい戦略を立てて黙々と試合をするのは大切ですが、もっと自分を出すというか、最後はテンション、気持ちで乗り切るという部分が大事だと感じています。勝ちに対する貪欲さを常日頃から忘れないように、気持ちを前面に出せる選手になりたいです。
 

「シンケン聞きたい!10クエスチョン」

好きな食べ物は?/嫌いな食べ物は?
甘い物。最近は和のスイーツが好きで、水ようかんなどを食べる/ショウガ
冷蔵庫に必ずあるものは?
自炊をしないので、その日に食べる物が入っている
趣味は?
ドラマを見ること
海外遠征の時に必ず持っていくものは?
ドライヤー。ホテルによって置いてなかったり、風量が弱かったりするので
ストレス解消法は?
甘い物を食べること
最近うれしかったことは?
22歳になった。コロナ禍で20歳になったので、できなかったことを今からしたい
10年後の自分を想像すると?
引退していると思うけど、フェンシングに関わっていたらうれしい
引き際はどう考えている?
自分自身のプレーに納得できなくなったら引退しようと考えている
今一番欲しいものは?
人生に必要な三つは?
冷静さ、決断力、お金
 

大分合同新聞 取材記事

 
2022年10月4日 大分合同新聞
 
2019年10月6日 大分合同新聞